2025年12月22日県議会の補正予算案&附帯決議の可決に対し、当ネットワークは以下の声明を発表しました。
柏崎刈羽原発再稼働―県民の世論と不安を置き去りにした「地元了解」に抗議します
2025年12月22日
柏崎刈羽原発再稼働の是非を考える新潟県民ネットワーク世話人・事務局一同本日、柏崎刈羽原発の「再稼働容認」の知事判断について、3100万円の原発安全対策広報費への賛否として議会に諮られた補正予算案と附帯決議が、自民党などの賛成多数で可決されました。知事はこれによって自らの判断と知事職の継続について「県民から信任を得た」とし、明日23日に「地元了解」を経産大臣へ伝えるとしています。
知事の手法は、地方自治の専門家らも指摘する通り、二元代表制・民主主義制度の観点で合理性を欠くばかりでなく、県民を欺く詭弁と言う他ありません。これまで、柏崎刈羽原発については、多くの課題が看過され、真剣な対策が取られないまま、再稼働に向けた形式的な手続きが進められ、規制組織も国の方針を追認してきました。また、知事も「3つの検証」を歪め、その課題を矮小化した上で、「職を賭して信を問う」との公約を自ら変質させ、公聴会や県民意識調査なども恣意的な形で進めてきました。今回の知事判断と県議会の対応は、そうした国や県の歪んだ手続きの積み重ねの上に、さらにそれを不当な手法で一方的に正当化して総仕上げするものだと言えます。
今回のプロセスには、原発そのものへの賛否を超えて、多くの県民が「欺かれた」想いを強くし、反発しています。再稼働には中立的な超党派の県内自治体議員のネットワークである「UPZ議員研究会」も、その声明(※1)において知事判断を批判し、「信を問う」には県民投票がふさわしい旨、明確に指摘しています。
各種世論調査などでも、県民の中には、再稼働への不安や「信を問う」方法としての県民投票への支持が高いことが明らかになっており(※2)、知事の提案とそれに従った県議会多数派の結論は、県民世論とは乖離し、県民の意思を置き去りにしたものです。柏崎刈羽原発は、来年1月20日にも再稼働する見通しと報道されています。しかし、「3つの検証」等で示された多くの課題-耐震安全性や避難計画の実効性、東電の組織的信頼性、そしてこれらに対する県内自治体や住民の不安など、未解決の課題は山積しています。再稼働の条件として知事が国へ要求している7項目の条件も、その多くが現時点で実現が担保されたものでもありません。また、本来必要な「特重施設」も「猶予期間」で免除されているに過ぎず、その完成まで原発はテロに無防備な状態に晒され続けることになります。さらに、元・前知事が県民の安全のため東京電力に約束させた地下式フィルタベントも完成していません(※3)。このような状態で、再稼働など到底できるわけがありません。
私たちは、今回の県議会の結果を受け、知事と県議会の多数派に強く抗議するとともに、国と東京電力に対し、未解決の課題が解決しない限り原子炉を起動しないよう、重ねて訴えます。仮に再稼働したとしても、県と柏崎市・刈羽村には、東電を厳しく監視し、問題があれば速やかに安全協定の10条「立入調査」や14条「適切な措置要求」を積極的に運用するとともに、協定の強化を図り、さらに県の技術委員会の拡充・強化など、県民の立場に立って原発問題に対処することを求めます。
なお、来年5月には知事選を迎えます。この知事選では、東電の適格性や原発稼働の妥当性に対する県民の意思を直接県民投票で問い、その結果を踏まえて原発問題に対応することの是非こそが、争点として問われるべきだと考えます。※註
1:「花角英世新潟県知事による柏崎刈羽原子力発電所の再稼働容認に対する声明」(12月15日)
2:県が行なった県民意識調査で、「再稼働の条件は現状で整っているか」との質問に否定的回答が約6割に上っている(▶新潟県WEBサイトより資料PDF)。県民ネットワークの独自調査の同様の質問でもほぼ同様の結果。また、「信を問う」方法としては、県民ネットワークの調査で約62%が「県民投票」と答えている(▶当サイト内報告ページ)
3:別紙▶「地下式FVの経緯と問題点」(PDF)

