1/9新潟県内在住の学者・研究者有志、声明を発表

新潟県内在住の学者・研究者有志は、
柏崎刈羽原発再稼働への同意撤回と、再稼働の中止を求める声明を発表しました。

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原発再稼働中止を求める声明(呼びかけ人名付き).pdf20260114 原発再稼働中止を求める声明(呼びかけ人名付き)

柏崎刈羽原発再稼働の中止を求めます。
2026 年1月9日
新潟県内在住の学者・研究者有志

花角新潟県知事は、昨年(2025年)12月23日に、赤沢経済産業大臣と高市首相を
訪問し、東京電力柏崎・刈羽原子力発電所の再稼働に同意する旨を伝えました。これ
により、東京電力は今月中にも、同発電所6号機の再稼働を始めようとしています。
しかし、この再稼働は県民の命と生活を危険にさらすものであり、また、その「同
意」の過程で、知事が県民の声に耳を傾けようとしなかったという、根深い問題があ
ります。

1、県民の声を無視して行われた知事の再稼働「同意」
花角英世知事はこれまでの2回の県知事選で、再稼働に同意するという姿勢は隠し
て再稼働については県民の意思を確認する、という姿勢を示してきました。しかしな
がら、14万人以上の署名で請求された県民投票条例案を知事と県議会は葬り去り、県
民の意向を問うという県民意識調査でも約6割が現時点での再稼働に不安を示してい
るのを無視しました。さらに公聴会での真摯な意見にも回答を示さず、丁寧に耳を傾
けたとはいえません。さらに、知事は再稼働の判断については県民に信を問うといい
ながら、突然、県議会に信を問うとすり替えました。そもそも知事は県民の選挙によ
って選ばれるのであり、職を続けることについて信を問うならば、それは県民にこそ
問うべきです。
再稼働同意に至る県知事の姿勢は、地方自治の柱の一つである住民自治の精神に反
するものと言わざるをえません。
さらに、東京電力は再稼働の見返りとして、1000億円の基金をつくるとしていま
す。しかし、これまでの新潟県への交付金や経済波及効果は、経済神話であり地域は
発展しませんでした。また、福島第一原発事故は23兆円以上の損害をもたらしました
が、東電はこれを実質的には支払わず、電気料金と税金で被害者である国民自身に支
払わせる仕組みにしています。そもそも、お金を払えば危険があっても原発を稼働さ
せてよいということは、県民の命と安全を勝手に売り払う行為です。このような提案
に乗ること自体が、県民の生命と生活を軽んじているものでしかありません。
以上のとおり、私達は、今回の再稼働同意の正当性に強い疑念を持つものです。

2、柏崎・刈羽原発を再稼働させることの危険性
東京電力福島第一原子力発電所の過酷事故に関わる多くの問題が解明されないま
ま、柏崎刈羽原発の再稼働がすすめられようとしています。新原子力規制基準のもと
で、柏崎刈羽原発6号機が原子力規制委員会の審査に合格したからと言って、安全が
保障されるわけではありません。原子力規制委員会は原発の審査合格は「絶対安全と
いう意味ではない」と言い、政府は「規制審査合格で安全が確保された原発は再稼働
する」と政治的に読み替えることで新たな安全神話を作り出そうとしています。
原子力発電のシステムは多くの要素からなる複雑技術システムであり、技術者にも
あらかじめ見えていない要素間の相互作用があります。この複雑性に起因する事故
は、予測不可能な形で頻繁に発生することが知られています。
原発に固有な危険性は、運転の長さに応じて生成される放射熱と蓄積される放射性
物質です。福島原発のように、津波による電源喪失によって冷却に失敗すれば、その
炉心と周辺が溶解し過酷事故となります。過酷事故とは、あらかじめ想定していた
「設計基準」を大きく超えるものです。したがって大きな地震などによる想定外の事
故が起こった場合、その進行を防止し、プラントの過酷な状態の制御と事故の結果を
緩和することが対策として必要となります。水素爆発を防いだり、溶解デブリを確実
に格納容器内で保持・冷却するなどの対策が必要ですが、この対策は安全審査におい
て極めて軽視されています。
過酷事故が起こった場合の最後の防御は避難計画です。しかし、避難計画の実行可
能性と実効性という人の健康や命に直結する事柄は、原子力規制委員会の審査対象に
はなっていないのです。一昨年、能登半島でおこった地震は、住民避難のこれまでの
ありかたに抜本的な見直しを迫っています。原子力防災は国の責任のもとで地方自治
体と連携して実施されるものですが、知事は県民の健康と命を守る立場に立って過酷
事故時における避難計画の実行可能性と実効性を見極める必要があります。花角知事
は、少なくとも緊急事態における国の組織的対応の実効性を見届けた上で原発再稼働
の是非を判断すべきでした。現状は知事の責任放棄と言わざるを得ません。
柏崎刈羽原発6号機の再稼働を容認した花角知事は、「福島事故の教訓から学んで安
全対策を」「危険な原発であるなら、再稼働の是非は県民の声に従ってほしい」という
多くの県民の願いに全く応えていません。原発敷地内の断層が活断層である可能性が
あるという専門家の指摘にもかかわらず、福島のような原発事故はもうおこらないと
いう設定で、新潟県は原発事故シミュレーションを行っています。「大した原発事故は
おこらない」「放射能は怖くない」という安全神話の復活を私たちは許すわけにはゆき
ません。
県民の命と生活を将来にわたって守ることが最大の仕事であるはずの県知事と県議
会与党がその役割を放棄して原発再稼働に進もうとしていることを、私たちは県民と
共に憂い、再稼働への同意の撤回を求めます。

呼びかけ人(50音順)
粟生田忠雄(新潟大学助教:農学)
阿部邦昭(日本歯科大学名誉教授:地球物理学)
石崎誠也(新潟大学名誉教授:行政法学)
伊藤克美(新潟大学名誉教授:物理学)
小山洋司(新潟大学名誉教授:比較経済体制論)
小西博巳(新潟大学教授:鉱物学)
酒匂宏樹(新潟大学准教授:数学)
佐々木寛(新潟国際情報大学教授:政治学)
立石雅昭(新潟大学名誉教授:地質学)
谷本盛光(新潟大学名誉教授:物理学)
藤堂史明(新潟大学教授:環境経済学)

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