【寄稿】県議会に委ねるという県知事見解に対する、石崎誠也新潟大学名誉教授の意見

「県議会に信任・不信任の判断を求める」という県知事の見解について

花角知事は11月21日の会見で柏崎・刈羽原発の再稼働を容認する考えを示すとともに、「この判断に沿って今後知事の職務を続けることについて、県議会から信任、または、不信任の判断をいただきたいと思っています。」と言いました。しかし、自治体の長(知事や市町村長)も議会も、それぞれ住民の直接選挙によって選ばれるものであり、その信任の基礎は住民にあります。長は議会に信任を求める立場ではありませんし、また議会も長の不信任議決権を持つだけです。

もし長が重要な決定をなすにあたり自らの進退をかけるならば、あくまでも選出母体である住民に信を問うべきものでしょう。仮に議会が信任の決議をしたとしても、それは選出母体である住民の意思に代わるものではありません。

花角知事はこれまでの知事選挙では再稼働容認の考えを明示してきませんでした。そのため、知事が「この判断に沿って知事の職務を続けることについての信任または不信任の判断をいただきたい」と考えるのであれば、辞職又は来年の任期満了による知事選挙で再稼働容認の考えを県民に問うべきです。それが我が国の地方自治制度に合致するものです。選出母体ではない議会に問うても意味がありません。

石崎誠也(新潟大学名誉教授(行政法)・弁護士)

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